リードナーチャリングとは?手法やプロセスについて徹底解説

この記事では、リードナーチャリングが注目される理由と、リードナーチャリング実施のメリット・デメリットを解説し、具体的な手法やプロセスをご紹介します。

  • リードナーチャリングとは何か知りたい
  • これからリードナーチャリングに取り組みたい
  • リードナーチャリングの具体的な手法や注意点を知りたい

リードナーチャリングとは

リードナーチャリングとは、見込み顧客(=リード)への中長期的なアプローチにより、購買意欲を高めていくマーケティング(もしくは営業)手法です。

広告などで獲得した見込み顧客に、メルマガやWebコンテンツ、セミナーを通じて有益な情報を提供していくことで、顧客の関心や信頼を高めて(=ナーチャリング / 育成)し、受注につなげることを指します。

マーケティング全体の流れでのリードナーチャリングの段階

BtoBマーケティングのプロセスは、大まかに3つに分けられます。

「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」「リードクオリフィケーション」の順に顧客の購買意欲を高め、受注につなげます。

各プロセスの位置づけを確認していきましょう。

リードジェネレーション

リードジェネレーションとは、見込み顧客の情報を獲得するためのプロセスです。

具体的には、セミナーや展示会での名刺交換、資料請求などにより、潜在顧客の情報を入手することが、リードジェネレーションに相当します。

自社サイトの記事コンテンツも、見込み顧客(=リード)からの問い合わせにつながる点でリードジェネレーションの一環と言えます。

リードナーチャリング

リードナーチャリングは、前のステップで獲得した見込み顧客の関心を高め、購買意欲を育てる段階です。獲得したリードにメルマガやセミナーを届け、そこで有益なコンテンツを継続的に提供することにより、顧客の検討度合いを高めていきます。

この際、顧客が継続して購読したい、参加したいと感じるような、質の高いコンテンツを発信し続けましょう。

リードクオリフィケーション

最後のステップが、リードクオリフィケーションです。

リードジェネレーションで獲得した見込み顧客を、リードナーチャリングを経て営業活動につなげる重要なプロセスです。

リードクオリフィケーションのポイントは、育成されたリードの中から、商談・契約につながる見込み度合いの高い顧客を選別することです。リードの的確な見極めと、営業部門との連携が求められます。

リードナーチャリングが注目されている理由

近年リードナーチャリングが注目されている理由のひとつとして、インターネットの普及による顧客の購買行動の変化があります。

インターネットの普及は拡大し、総務省の調査によれば、2021年のインターネット個人利用率は82.9%となっています。

インターネットの登場により、消費者の購買行動は大きく変化し、それに伴ってリードナーチャリングが必要とされるようになりました。

ユーザーは自ら情報を得られるようになった

インターネットの普及以前は、顧客は企業から製品・サービスの説明を受け、購入を決断していました。

訪問営業で担当者から情報を提供され、そこから契約に進むというスタイルです。

ところが、インターネットの発達した現代では、顧客が自ら情報を検索することが一般的になりました。現代の顧客は、製品やサービスの情報を能動的に収集し、複数の製品の比較・検討を重ねる傾向が強まっています。

顧客が比較材料を多く得られるようになることは、企業にとって競合との競争の激化を意味します。現代においては、競合よりも早く、価値のある情報を顧客に届ける必要性があるため、リードナーチャリングが注目され始めました。

休眠顧客の増加

休眠顧客とは、リードとして獲得したもののアプローチし切れず、放置してしまっている見込み顧客のことです。

現代では、見込み顧客を獲得する手法として、展示会などオフラインの場面だけでなく、オンラインの自社コンテンツやWeb広告も活用されるようになりました。

オンラインの施策の特徴として、一度で多くのリードを獲得できることが挙げられます。しかし、全てのリードの製品・サービス導入検討度が高いわけではありません。

営業部門のリソースは限られており、見込み度合いの高い顧客にしかアプローチし切れないケースが増加しているのです。

そのような休眠顧客に中長期的に接触し、検討するタイミングになったら自社を比較検討の候補としてもらうための、リードナーチャリングの実施が必要となりました。

リードナーチャリングのメリット

リードナーチャリングが注目される背景は分かったけど、自社事業にも活用できるのだろうか?

そんな疑問をお持ちの方に知っていただきたい、リードナーチャリングの4つのメリットをお伝えします。

長期フォローの仕組みが整備できる

顧客の検討フェーズが長期化した現代では、獲得したリードすべてを営業担当者がフォローし続けるのには限界があります。

そこで、リードナーチャリングの実施により、継続的に見込み顧客をフォローする仕組みを設計することが効果的です。

例えば、「セミナーに参加する」「資料請求する」といった顧客の行動に応じて、見込み度合いを設定して、それに応じて積極的にアプローチするシステムを組むことが可能です。

このように見込み顧客を選別することは、リードクオリフィケーションの過程でもあります。

リードの見極めにおいても、データを基盤にすることで、担当者のスキルや経験で対応がバラつくことなく、効率的な営業活動が実現できます。

既存の資産を活用し、新規開拓コストを削減できる

リードナーチャリングの2つ目のメリットは、既に獲得した顧客情報を資産として活用できる点です。

新たな展示会出展やWeb広告配信など、リードを新規に創出するためにはコストがかかります。

リードナーチャリングは、休眠顧客として活用されていないリードの情報をもとに新規受注を獲得するメソッドであるため、コストや手間を抑えて実施できる施策です。

また、休眠顧客は既に自社製品・サービスに一定の関心を持つ可能性が高いため、新規にリードジェネレーションで獲得するリードよりも、コストの面でも確実性の面でもメリットが大きいと言えます。

タイミングを見計らった再アプローチができる

顧客の検討フェーズが長い現代において、顧客への再アプローチは必須となります。顧客の関心度が高まってきたタイミングを狙って、自社製品・サービスの情報を提供しなければなりません。

ツールを活用すれば、リードナーチャリングの各プロセスで顧客の検討度を自動的に可視化できるようになります。そのため、顧客の見込み度が高まったタイミングで、積極的な再アプローチが可能です。

顧客のニーズと一致するタイミングでアプローチする戦略は、営業担当者のモチベーション維持にも寄与します。

購買意欲の高まった顧客に積極的にアプローチするため、見込みの薄い架電や商談が減り、「実績につながりやすい活動ができている」という実感につながります。

顧客単価の向上が期待できる

リードナーチャリングとして、有用な情報を提供することで、顧客単価も上げられます。

提供プランが複数ある製品・サービスの場合、顧客は機能の違いをよく吟味しないまま最もコストの安いプランを選びがちです。

前もって情報を提供しておくことで、顧客は製品・サービスへの理解を深め、機能性を踏まえて上位プランを購入する可能性が高まります。

適切な情報提供はリピート購入や関連商品の購入を促す効果もあります。

リードナーチャリングのデメリット

リードを管理するコストがかかる

リードナーチャリングは中長期的な施策であるため、一定のリソース確保が求められます。

まず必要なのが、見込み顧客の情報や、どのような営業・マーケティング活動をしたか記録するリソースです。

また、記事やホワイトペーパーといったコンテンツ制作・配信などで継続的なアプローチをするための人的リソースも欠かせません。

特に、リードナーチャリングにおいては、見込み顧客のニーズを満たすコンテンツの配信を続ける必要があります。

データ管理や配信についてはSFA(営業支援システム)やMA(マーケティング自動化)などのツールを利用できますが、コンテンツ制作については人的リソースなしでの実施は難しいでしょう。

売上化まで時間がかかる

リードナーチャリングは、売上に結びつくまでに一定の時間を要します。

見込み顧客は、リストに追加される段階では製品・サービス購入を本格的に検討していない場合も少なくありません。十分に購買意欲の高まった顧客に対しては、営業担当者がすでにアプローチを進めていることでしょう。

リードナーチャリングはリードの見込み度を高めていく手法であり、今すぐ売上につながる施策とは言えません。それを認識したうえで、中長期的なシナリオを持って取り組みます。

事前の集客力が必要となる

効果的なリードナーチャリングの実施には、事前の集客が不可欠です。

保有しているリードが十分でないと感じる場合は、リードジェネレーションに立ち戻りましょう。広告やセミナーなどの取り組みを振り返り、必要に応じて予算や人員を見直します。

安定してリードを獲得できる仕組みを構築することが、リードナーチャリングのプロセスへ進む足がかりとなります。

具体的なリードナーチャリングの手法

リードナーチャリングの具体的な手法でお悩みの方むけに、リードナーチャリングの手法のうち代表的なものを、オンラインとオフライン合わせて5つご紹介します。

方法によっては自社の基盤を活用できる可能性もあるので、自社に合ったアプローチから取り入れてみてください。

メールマーケティング

メールマーケティングには次のようなものがあります。

  • メルマガ
  • ステップメール
  • 休眠発掘メール
  • セグメントメール

一斉送信のメルマガだけでなく、顧客の検討度合いやセグメント(業界や企業規模など)に応じたメールを配信するとより効果的です。

メールマーケティングのメリットは、低コストであることと効果測定ができることです。

メールはコンテンツを制作するだけで一斉に配信できます。また、メールマーケティング用の効果測定ツールは操作がシンプルで、手軽に始められるものが多いです。

テレマーケティング

テレマーケティングは、電話を使った顧客とのコミュニケーションを指します。

テレマーケティングでは、リードに電話で情報提供していくことでナーチャリングを実現します。リードの抱える課題や不満をヒアリングし、解決策を提案することで、商談につなげていくのです。

訪問営業のようなフィールドセールスよりも、内勤のインサイドセールスの方が移動時間が短縮でき、効率的な営業が可能です。

オウンドメディア

オウンドメディアとは、自社で運営するブログのようなメディアのことです。

顧客にとって有益なコンテンツを発信すれば、顧客の信頼感が高まります。

オウンドメディア経由で資料請求をするリードは、ほかのリードに比べて自社のことを理解していることが多く、見込み度が高くなりやすいです。

セミナー・展示会

セミナーや展示会は、顧客と双方向のコミュニケーションを取れるため、Web広告やSNSよりも、顧客が求める情報を提供できます。

顧客が疑問点を抱えていた場合、その場ですぐに顧客の質問に回答でき、顧客の満足度が高まることからも、双方向の対話は有益です。

MAツールの活用

MA(マーケティングオートメーション)ツールを導入することで、リードナーチャリングのプロセスをより効率的で継続的なものにできます。

  • メルマガ開封
  • ページ閲覧
  • セミナーや展示会への訪問

このようなアクションは、顧客の関心度の高さを示しています。顧客の検討度を示すデータを一元化できるのがMAツールです。

多くのMAツールには自動化ツールが含まれます。リードのデータを管理するだけでなく、顧客の検討段階に応じたコンテンツを自動で配信することも可能です。

リードナーチャリングを行うためのプロセス

リードナーチャリング実施のための、準備しておいた方がいいことがあります。リードナーチャリングの具体的なプロセスを、4つに分けて解説していきます。

リード情報の一元管理

現代ではリードを獲得する方法は多岐にわたります。

オフラインの展示会で交換した名刺も、Webサイトからの資料請求で得た顧客データもリードナーチャリングで活用すべき情報ですが、担当者が個人で管理していたり、重複して登録されていることも少なくありません。

まずは見込み顧客のデータを一元化したうえで、重複データの統合や、各データの表記統一など整理を進めましょう。

リードのセグメンテーション

リードを一元化したら、それぞれのリードをセグメントに分類します。

展示会で名刺を交換した見込み顧客とWebサイトから資料をダウンロードした見込み顧客では、持っている期待値は異なる可能性が高いです。

見込み顧客を属性や接点などで細分化し、「情報収集のみ」「サービス比較検討中」など購買意欲に応じて、ナーチャリングの優先度を明確にしていきましょう。

コンテンツ作成

セグメントに分類した見込み顧客には、それぞれの検討段階に応じたコンテンツを提供します。

例えば、名刺交換などで獲得し、認知段階に留まっているリードに対しては、ノウハウ系コンテンツや課題解決系コンテンツを配信し、自社製品・サービスへのニーズを喚起していきます。

資料請求フォームから獲得したリードは、検討段階に入っていると期待できるため、割引キャンペーンの案内などの情報で、アプローチするといった方法が考えられます。

施策の実施 ・検証

リードナーチャリングの実施段階では、セグメントごとに作成したコンテンツを配信していきます。

MAツールで開封率やアクセス率などのデータを解析すれば、配信したコンテンツが顧客のニーズを満たすものだったかを判断できます。

解析データをもとに、より顧客の見込み度を高められるコンテンツを提供していきましょう。

まとめ

リードナーチャリングは、インターネットが普及した現代において効果的なマーケティング手法です。

長期化した顧客の購買プロセスを効率的にフォローすることで、営業活動の生産性向上も見込めます。

休眠顧客リストをベースにするなど、既にある資産を活用して始められる手法でもあります。

ぜひ、自社で実施しやすいアプローチから試してみてください。

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